開院21周年

4月1日はエイプリルフール開院記念日。4月1日になると何か書いておきたくなります。

気がつけば、21年が経っていました。

2005年の春、よやすクリニックを開院したとき、iPhoneはまだ世に出ていませんでした。患者さんも、スタッフも、みんな折りたたみの携帯電話を手にしていた時代です。インターネットはすでに存在していましたが、SNSなどというものはなく、巨大掲示板が最大の情報源でした。ホームページを持つ医療機関はまだ珍しく、電子カルテは「すごく進んだ医院がやること」という空気がありました。よやすクリニックでは、受付スタッフや看護師が診察室まで紙のカルテを運んでくれていました。ボールペンでひたすら書き続け、慢性的な肩凝りに悩まされていたのを今でも覚えています。

患者さんが1日10人という日もありました。暇にまかせて、クリニックの駐車場の草を取ったり、玄関の鉢植えに水をやったりしていました。体重は今より10キロも重く、歩くことさえほとんどありませんでした。ランニングを始めるのは、もう少し先の話です。

あの頃、漠然とこう思っていました。「60になったら、セミリタイアだな」と。

それから21年。世の中はIT化、DX化の波に揺れ、気がつけば自分もその流れの中でもがくように走り続けています。電子カルテは当然のものになり、AIが診療を補佐し、スマートフォンなしでは仕事も生活も成り立ちません。いろいろな手続きをクラウドで進め、音声から電子カルテを生成するソフトを自分で開発するようになるとは、2005年の自分には想像すらできなかったでしょう。

そして今年、還暦を迎えます。

セミリタイアの気配は、どこにも見当たりません。患者さんのこと、スタッフのこと、次の仕組みのこと——頭の中はむしろ賑やかです。あの草取りをしていた午後の静けさが、今となっては少し懐かしく感じられます。

21年前に折りたたみ携帯を持っていた駆け出し院長は、いつの間にかランニングする還暦の医者になっていました。人生とはつくづく、思い通りにならないものです。そして、それでよかったと、今は思っています。

追記
今年の熊本城マラソンの結果について時々尋ねられます。この場を借りてご報告。
今年は練習不足と暑さのために脱水がひどくて、何度も足がつりそうになっては歩くのを繰り返していました。例年より1時間以上遅くゴール。無事になんとか完走できました。来年こそきちんと走れるように、さぼらずに練習します。

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