2023年12月よりMeasurement Based Careを取り入れています。
メジャーメントベースドケア・・・何それ?とお感じになる方がほとんどだと思います。一部の通院中の方に診察前にチェックリストやタブレットで書いてもらっている「あれ」です。
web問診での後半部分もそれです。
Measurement-Based Care(MBC、測定ベースのケア)は、患者の治療プロセスを客観的に評価し、個別化したケアを提供するための方法です。主に精神科や心理療法の分野で広く採用されていますが、他の医療分野でも応用されています。
MBCの基本的な概念
MBCは、定期的に患者の症状や治療の進行状況を標準化された測定ツールを用いて評価することで、治療効果を客観的に把握し、それに基づいて治療計画を調整していくアプローチです。具体的には以下のステップが含まれます:
- 評価の実施:定期的に患者にアンケートや検査を実施して、症状の程度や治療の効果を数値で評価します。これには、うつ病の評価スケールや不安の評価スケールなどが含まれます。
- データの分析:収集したデータを分析し、患者の症状が改善しているか、悪化しているか、あるいは変わらないかを確認します。
- 治療の調整:分析結果に基づいて、治療計画を見直し、必要に応じて変更を加えます。これには、薬物治療の調整、方針の変更、追加のサポートの導入などが含まれます。
- フィードバックの提供:患者に対して評価結果や治療の進行状況をフィードバックし、治療に対する理解と協力を促します。
MBCの利点
- 客観的な評価:治療の効果を数値で評価することで、主観的な判断に頼らず、客観的なデータに基づいて治療を行うことができます。
- 迅速な対応:定期的な評価により、症状の変化を早期に発見し、迅速に対応することができます。
- 個別化されたケア:各患者の状態に応じて治療を調整することで、より効果的な個別化されたケアを提供することができます。
- エンゲージメントの向上:患者にフィードバックを提供することで、治療への参加意識を高め、治療の継続や効果を促進します。
当院で実際におこなっている事
当院では診察前に、PHQ-9といううつ病評価スケールと、PDQ-5という認知機能評価スケールを記入してもらいます。この結果を医師が分析し、患者の症状が改善しているかを確認します。もし症状が改善していなければ、薬の調整や新しい治療法を試みるなど、治療計画を見直します。
結論
MBCは、データに基づいた治療の調整を通じて、患者の治療効果を最大化し、個別化されたケアを提供するための重要なアプローチです。患者の症状を定期的に評価し、そのデータを用いて治療を調整することで、より効果的で効率的な医療サービスを提供することが可能になります。
ある研究では、MBCをおこなう事で、うつ病の寛解率が50%近くも上がったとの結果も出ています。
診察のときに、治り具合を確認しながら一緒に治療をおこなっていきましょう。問診、チェックリストの記入よろしくお願いします。